アラブ経済研究所・所長の北村陽慈郎です。アラブ経済研究所は、アラブ諸国の経済やビジネス環境などを、調査・研究することを目的に組織された民間調査機 関です。また、調査・研究だけに留まらず、日本とアラブ諸国のビジネス交流が盛んになることを、目的とした情報発信も積極的に行っています。

 ところで、みなさんは、「アラブ」という言葉から何を連想しますか?

 私の周りの人々に、アラブのイメージを聞いてみると、たいていは、石油、砂漠、中東、イスラム教といった返事が返ってきます。

  こういったアラブに関する型にはまったイメージは、ある側面では正しい認識です。しかし、たったこれだけの貧困なイメージでアラブを捉えてしまうと、日本 のことを「京都のような古風で優美な国だ」と認識してしまうのと同じくらい、現状からかけ離れたアラブ認識になってしまいます。京都は古来の日本の伝統や 文化を現代に伝えているかも知れませんが、京都からイメージできる古風な日本と、国際経済の観点から観た現代の日本は、全く違うものです。

 現代日本を理解するためには、京都の文化だけではなく、国際的な大都市として発展してきた東京の状況や、日本が得意とする自動車産業やハイテク産業が、 どうなっているかといったことも理解しなければなりません。それから、地方都市の財政や、政治状況や軍事力など、多方面から見ないと、日本が解ったことに はなりません。同様に多くの日本人にとって、これまで馴染みの薄かったアラブを理解するためには、アラブ諸国の歴史や文化や宗教観や政治や経済や国際関係 や商習慣などを、様々な角度から眺めてみる必要があります。

 私の知る限り、日本人の多くが抱いているアラブに対する印象や認識は、実情から大きくずれています。そして、この認識のずれは、世界経済を理解することへの大きな妨げとなっています。


 アラブ諸国は世界金融危機以降の世界経済の勢力を完全に塗り替える可能性を持った国々です。これらの国々が持っている潜在力は、中国やインドといった新 興国勢力と比べても、勝るとも劣りません。しかも、世界中のイスラム人口の急激な増加を考慮すると、いずれは、中国も米国も追い越して世界の中心となるの が、イスラム社会であり、その中核となるのがアラブ諸国です。そして、アラブ諸国の発展に欠かせない、高度な技術や産業力を持っているのが日本なのです。

 アラブ諸国は、日本の恒久的なパートナーと成り得る国々であり、アラブの人々も日本との交流を深めることを切望しています。日本が今後の百年間のことを 真剣に考えるのであれば、日本が取り組まなければならない相手は、米国でも欧州諸国でも、ましてや中国やインドでもなく、アラブ諸国です。

 原油価格の高騰によって蓄えられた国富のみで考えると、サウジアラビアやアラブ首長国連邦やカタールやクウェートといったアラビア湾岸諸国が、アラブ社 会の牽引役となります。しかし、アラブ社会はオイルダラーだけで動いているのではありません。長い歴史に裏打ちされた国際政治力や、人口の多さという観点 で捕らえると、エジプトがアラブ社会の盟主と考えることもできます。また、脱石油化を推進しアラブ屈指の工業国としての地位を確立しているイランも、これ からの国際政治や世界経済を考える上で、非常に面白い存在だといえるでしょう。

 これから日本がアラブ諸国と、どのようにして付き合っていくべきかについては、拙著『イスラムマネーの奔流・日本に押し寄せる1000兆円の津波』でも言及しておりますので、アラブやイスラム社会に興味のある方は、是非とも御一読ください。この本では、これまでの欧米諸国やBRICs諸国を中心として解説してある世界経済観とは、一味違った世界観を展開しています。


サハラ・ソーラー・ブリーダー・ファウンデーション
Sahara Solar Breeder Foundation
http://www.ssb-foundation.com

アラブ経済研究所
所長 北村陽慈郎
きたむら・ようじろう
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